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奇妙な道行き
揃わない足音

大理石の床を行くと
かしこまった彼女がドアを開けてくれる

空はもう落ちてこない
緑は枯れ晩秋の光を浴びて震えている

どうかどこにも行かないでと願ったのは
若き日の微笑ましさ

醜い私を彼女は許さなかった

天使がドアを閉める
ここからはひとり

館の中の細長い廊下
後ろを振り返っても罰はない
どこに行ってもいい
けれど先行きの案内はない